レジ破壊

そういえば私が昔コンビニの深夜バイトしてた頃、レジでクレームを言われ、
イライラし、その客が店を出た瞬間抑えていた怒りを爆発させて、
そのコンビニのレジを思いっきり殴ったことがあります。

もちろん、レジの液晶は割れ、機能しなくなりました。
「あーやべー!」と思い、深夜2人体制だったので、もうひとりのスタッフに
「レジ壊しちゃった!」って言って、片方のレジしか使えない状態になりました。

「オーナーにバレたら首になっちゃうな~」と焦りましたが、一応深夜の責任者として
働かせていただいていたので、レジの修理業者の電話番号は調べればわかる状態でしたので、修理業者にすぐ連絡し深夜中に修理してもらい事なきを得ました。

気になる修理代ですが、修理に来た人の話によると、緊急修理は契約に含まれており、
特別にいただくことは無いとのことだったので、金銭的にも安心しました。

イライラしても、物にあたっては行けないなぁーと思いました。

俺ダイジェスト~平成が終わる前に~

・1996年3月から16年上京していた。
・2010年頃バンド活動休止、事実上の解散
・2012年1月くらいから鬱病にて生活保護で暮らす
・2012年8月くらいに「このままではダメ人間になってしまう」と思い
 実家へ戻り親元で療養
・2013年6月くらいに葬儀屋に正社員として就職するも
 ブラック企業過ぎてひと月半程度で退社
・2013年10月01から、現在のIT関連企業(コールセンター)に正社員として入社
・2015年1月から、「身体表現性障害・鬱病」で、1年半休職


・2016年7月より復職 完全な復職ではなく勤務制限つき復職

就業制限無しになってからも2019年1月末まで遅刻する日々が続き2月ころから改善されだす。 2019年03月07日から遅刻無しが続いている
2019年4月より有休が再度発生する。

『背無し』

会社からの帰路の途中、ある大学の前を通る。
そこは見晴らしの良いただの直線だが、何故か事故が多いことで有名だった。
その道をあまり使わない人には分からないだろうが、毎日車で出勤するオレや同僚には事故の理由は明白だった。
あるおっさんが原因なのだ。

そのおっさんは大学手前の横断歩道の脇に立っている。それも毎日。
雨の日も昼も夜も、ただ無表情で突っ立っている。
そして何故か、カラダごと真っ直ぐこちらに顔を向けているのだ。
おっさんに気付いてからしばらくは、「気味が悪い人がいるなぁ」程度の認識しかなかった。
しかし更なるおっさんの異常性に気付くのに、そう時間はかからなかった。

おっさんはカラダごとこちらを向いている。いつ、どんな時でも。
例えば横断歩道の手前30mからおっさんを認識したとする。
「ああ、今日もいるな。そしてこっち見てる…」
そのまま横断歩道を通過して、素早くバックミラーでおっさんを確認すると、やはりこちらにカラダごと顔を向けているのだ。
この異常さが理解出来るだろうか?

おっさんはどんな時でも必ず真正面からこちらを見ているのだ。
向きを変える気配すら見せず、瞬時にこちらを追跡してくる。
それに気付いた時オレは確信した。あのおっさんは人間ではないのだと。

うすら寒さを感じたオレがそのことを同僚に話してみると、そいつもおっさんのことを知っていた。
何でも地元では『背無し』という名称で有名らしい。
確かにおっさんは正面しか見せない。後頭部や背中は見たことがなかった。
変な霊もいるんだなと、その日は同僚と笑い合って終わった。

オレがビビりながらも、ある思いを持ったのはその時だった。
何とかしておっさんの背中が見たい。そう思うようになったのだ。
毎日通勤しながらおっさんを観察する。普通に通るだけではダメだ。おっさんには全く隙が無い。
通過後、バックミラーに目を移す瞬間におっさんはカラダの向きを変えてしまう。
オレはチャンスを待つことにした。

数日後、残業で遅くなったオレは深夜の帰路を急いでいた。
そしてあの道に差し掛かる。
目をやると、やはりいた。おっさんがこちらを向いている。
『背無し』の由来を思い出したオレは、素早く周りを確認した。
深夜の直線道路。幸い前後に他の車は無く、歩行者もいない。信号は青。
チャンスだった。

横断歩道の手前でぐっと車速を落としてハンドルを固定する。とにかくゆっくり、真っ直ぐに。
そして心を落ち着け視線を向けた。
おっさんはいつものように無表情でこちらを見ている。目は何の感情も示しておらず、本当にただ立っているだけだ。
しかし改めてじっくり見るおっさんは、いつもより不気味だった。
何を考えているか分からないというか、得体が知れないのだ。

やがて車はゆっくりと横断歩道を横切っていく。
目線はおっさんから外さない。怖くても意地で見続けた。
するとオレが目線を切らないからカラダの向きを変える暇が無いのか、
いつも正面からしか見れなかったおっさんの顔の角度がゆっくりと変わっていく。
車の動きに合わせてゆっくり、ゆっくりと。
おっさんは始めの向きのまま微動だにしない。

ついにおっさんの完全な横顔が見えた時、「これはいける!」と確信した。
おっさんから目線を切らないために、オレも顔の角度を変えなければ行けないため、
今や車の後部ガラスからおっさんを見るような体勢だ。
当然前なんか見えちゃいないが、気にもしなかった。
もうすぐで『背無し』の由来に打ち勝つことが出来るのだ。

そうしてゆっくりと永い時間が流れ…ついにその瞬間が訪れた。
『背無し』の今まで誰も見たことの無い背中が後頭部が、今はっきりと見えているのだ。
それはあっけない程に凡庸な背中だった。何一つ不思議なところは無い。
しかしオレの胸にはささやかな達成感があった。
じっくりと背中を観察し満足感を味わったあと、オレはようやく目線を切って前を向いた。いや、向こうとした。

目線を切って前を向こうとしたオレはしかし、あるものを見て固まった。
助手席におっさんがいた。もの凄い怒りの形相て。
心臓が止まったかと思った。
「うわぁあ!」
オレは悲鳴を上げブレーキを踏んだ。
徐行していたはずの車は何故か強烈な衝撃とともに電柱に激突し、オレは失神した。

翌朝、病院で目が覚めたオレはすぐに警察の聴取を受けた。
幸いにオレを除いて怪我人は無し。オレの車が全損した以外に大した器物損壊も無かった。
警察は事故の原因をスピードの出し過ぎによる暴走運転と断定したが、オレは抗議する気力も無かった。
あんなこと話す気すら起きなかった。

あれから5年。オレは通勤のために今もあの道を走っている。おっさんは変わらずいるし、相変わらず事故も多い。
ただ一つだけ変わったことは、オレがおっさんの方を見なくなったことだろう。
あの時、聴取の警察官がボソッと言った、「今回は連れて行かれなかったか」という言葉が今も耳から離れない。

ピザのデリバリー

東京でピザのデリバリーのバイトをしてた頃
高級マンションの人から注文が入った。

何の変哲もないミックスピザ1枚
急いで持っていくと高級マンションだけあって階数は36階。

ピザを持っていき、1階でインターフォンを鳴らしセキュリティのドアを開けてもらい
注文者の部屋へ。

部屋の前でまたインターフォンを鳴らし「◯◯ピザです」
出てきたのは老人。一万円を出し釣はいらないから頼みがあるという。

「そこの箱に入ったゴミを1階のゴミ捨て場においてきて欲しい」と老人

一万円もらって気を良くした俺は快く引き受けた。
が、みかん箱くらいの箱なのだけどすごく重たい
「一体何が入っているんだろうか?」と思いながら
やっとのことでエレベータまで運んだ…

息を切らせながら1回のボタンを押してエレベーターで降りていく
とその瞬間ギーーーーーーーーという音とともに

あんなに重かった箱がエレベーターの天井へ飛び上がった
そしてガン!と落ちてきた。

と思ったらエレベーターは緊急停止
エレベーターの中に閉じ込められてしまった…

慌てることもなくエレベーターに備え付けの緊急時の受話器のようなものを
手にとってみた。

エレベーターの管理会社にすぐにつながり10分ほどで外に出れた
が、なぜ緊急停止したのか… あんなに重かった箱がなんで宙に浮いたのか…

管理会社の人が来る前にとりあえず箱の中を見ると
鉄アレイ数個とそれにぐるぐる巻きになったピアノ線のようなものがあった。

ピアノ線は上に伸びておりこれが何処かに引っかかってエレベーターが緊急停止
したのだと思った。

案の定管理会社の人もそう言ってそのピアノ線のようなものを辿ってみる

階数は36階、あの老人の部屋につながっていた。
そう、その老人の首につながっていたのだ。

「自殺の手伝いをさせられたんだ!」と気づいた俺はその転がった老人の首を見た
とき、老人の目があったような気がして腰が抜けた。

その後マンションの管理人が警察を呼びおれは事情聴取やら、殺人の容疑やら疑われ
大変だったが、老人が残した遺書のおかげで、結局老人の自殺ということで解決された。

しかし、俺が老人の死の原因となったことには変わりない。
俺はすぐそのバイトを辞めた。思い出すたび嫌な気持ちになる。

新聞配達のバイト

中学生の分際で朝刊を配る新聞配達のバイトしてたんだけど、
その時に配達を任されてた場所が、大きな団地1棟とその周りだけだった。

その大きな団地で起きた体験なんだけど・・・
その大きい団地はその頃の建物にしては階層が高くて、地域でもかなり目立つ建物だった。

その高さのせいかその団地で何度か飛び降り自殺があってね。
そんな事が有ったから、その団地にはお約束の様に色々噂が有ったんで、
その団地の担当になった時は本当に嫌で仕方がなかった。

怖さに慣れるのに1ヶ月以上掛かったけど、何とか慣れてきたときの事。

その団地の配達をする時は、まずエレベーターで一気に最上階まで行って、
そのフロアーを配り終えたら階段で1階づつ下っていく、と言う方法で配っていて、
その日もそれで配り終えた後に、一つ仕事を忘れているのに気付いた。

その日はたまたま新聞と一緒に封筒を入れなければならない家があって、
その事を忘れていて(映画のチケットだったかな・・・預かってた)また戻るハメになった。

その家が11階だったんでエレベーターを使い、
その家に封筒を入れてエレベーターの所まで戻って来た時には、エレベーターは最上階で止まっていた。

普段は下りで乗る事は無いけど、
その時はもちろんエレベーターを使おうと、少し上の最上階から降りてくるの待ってたら、
1つ上の階でエレベーターが止まった。

エレベーターのスグ横に階段があるので、誰かが上に居たら気配や音でスグわかる様な状態なのに、
そのどちらも全く無かった。

エレベーターに乗り込む気配も音も、もちろんしない。

自分は霊感とかは全く無いけど、その時はもの凄く嫌な感じがしたのは覚えている。

その後何と言うか固まってしまったと言うか、情け無いがビビりきったとでも言うのか・・・
そのエレベーターが自分が居る11階に来るまで、手足に鳥肌を立たせながら動けないでいた。

そして自分の居る階でエレベーターが止まり、扉が開いた。

中が見える前に髪の毛が総毛立つ様に思えたのは、あの時が初めてだと思う。

中には二人乗っていた。

オレンジ色?のレインコートの様な感じの物を来た小太りの女の人と、
その子供らしき、同じくレインコート(ピンク色)を着ている女の子が、
手を繋いでこちらに背を向けて立って居た。

扉が開いて閉まるまでの間、10~20秒程度だったと思うけど、自分には永遠の時間の様に長く感じた・・・

その間二人は全くこちらを見ないし、ピクリとも動かなかった。
それが生きてた人で有ろうと無かろうと、もう自分には関係無かった。
(怖かったけど階段で降りて)戻って即効ヤメる事を告げて、制止も聞かずに家に帰ってしまった。

後で他の配達員に聞いたら、自分と同じ体験をした人は居なかった様だけど、
変な者、変な声を聞いたとかで、ヤメていった人は結構居たみたい。

エイプリルフール

今日はエイプリルフールだ。特にすることもなかった僕らは、
いつものように僕の部屋に集まると適当にビールを飲み始めた。

今日はエイプリルフールだったので、退屈な僕らはひとつのゲームを思い付いた。
嘘をつきながら喋る。

そしてそれを皆で聞いて酒の肴にする。
くだらないゲームだ。

だけど、そのくだらなさが良かった。

トップバッターは僕で、この夏ナンパした女が妊娠して実は今、
一児の父なんだ、という話をした。

初めて知ったのだが、嘘をついてみろ、と言われた場合、
人は100%の嘘をつくことはできない。

僕の場合、夏にナンパはしてないけど当時の彼女は妊娠したし、
一児の父ではないけれど、背中に水子は背負っている。

どいつがどんな嘘をついているかは、なかなか見抜けない。
見抜けないからこそ、楽しい。

そうやって順繰りに嘘は進み、最後の奴にバトンが回った。
そいつは、ちびり、とビールを舐めると申し訳なさそうにこう言った。

「俺はみんなみたいに器用に嘘はつけないから、ひとつ、作り話をするよ」

「なんだよそれ。趣旨と違うじゃねえか」
「まあいいから聞けよ。退屈はさせないからさ」

そう言って姿勢を正した彼は、では、と呟いて話を始めた。
僕は朝起きて気付くと、何もない白い部屋にいた。

どうしてそこにいるのか、どうやってそこまで来たのかは全く覚えていない。
ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。

しばらく呆然としながら状況を把握できないままでいたんだけど、
急に天井のあたりから声が響いた。

古いスピーカーだったんだろうね、ノイズがかった変な声だった。
声はこう言った。

『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。
歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』

って。で、そこで初めて気付いたんだけど僕の背中の側にはドアがあったんだ
横に赤いべったりした文字で

『進め』
って書いてあった。

『3つ与えます。
ひとつ。右手のテレビを壊すこと。
ふたつ。左手の人を殺すこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり彼らは死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』

めちゃくちゃだよ。どれを選んでもあまりに救いがないじゃないか。

馬鹿らしい話だよ。でもその状況を馬鹿らしいなんて思うことはできなかった。
それどころか僕は恐怖でガタガタと震えた。

それくらいあそこの雰囲気は異様で、有無を言わせないものがあった。
そして僕は考えた。

どこかの見知らぬ多数の命か、すぐそばの見知らぬ一つの命か、
一番近くのよく知る命か。進まなければ確実に死ぬ。

それは『みっつめ』の選択になるんだろうか。嫌だ。
何も分からないまま死にたくはない。

一つの命か多くの命か?そんなものは、比べるまでもない。
寝袋の脇には、大振りの鉈があった。

僕は静かに鉈を手に取ると、ゆっくり振り上げ
動かない芋虫のような寝袋に向かって鉈を振り下ろした。

ぐちゃ。鈍い音が、感覚が、伝わる。
次のドアが開いた気配はない。もう一度鉈を振るう。
ぐちゃ。顔の見えない匿名性が罪悪感を麻痺させる。

もう一度鉈を振り上げたところで、かちゃり、と音がしてドアが開いた。

右手のテレビの画面からは、
色のない瞳をした餓鬼がぎょろりとした眼でこちらを覗き返していた。

次の部屋に入ると、右手には客船の模型、左手には同じように寝袋があった。
床にはやはり紙がおちてて、そこにはこうあった。

『3つ与えます。
ひとつ。右手の客船を壊すこと。
ふたつ。左手の寝袋を燃やすこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり客船の乗客は死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』

客船はただの模型だった。
普通に考えれば、これを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。

けどその時、その紙に書いてあることは絶対に本当なんだと思った。
理由なんてないよ。ただそう思ったんだ。

僕は、寝袋の脇にあった灯油を空になるまでふりかけて、
用意されてあったマッチを擦って灯油へ放った。

ぼっ、という音がして寝袋はたちまち炎に包まれたよ。
僕は客船の前に立ち、模型をぼうっと眺めながら、鍵が開くのをまった。

2分くらい経った時かな、もう時間感覚なんかはなかったけど、
人の死ぬ時間だからね 。たぶん2分くらいだろう。

かちゃ、という音がして次のドアが開いた。
左手の方がどうなっているのか、確認はしなかったし、したくなかった。

次の部屋に入ると、今度は右手に地球儀があり、左手にはまた寝袋があった。
僕は足早に紙切れを拾うと、そこにはこうあった。

『3つ与えます。
ひとつ。右手の地球儀を壊すこと。
ふたつ。左手の寝袋を撃ち抜くこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、その代わり世界のどこかに核が落ちます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』

思考や感情は、もはや完全に麻痺していた。
僕は半ば機械的に寝袋脇の拳銃を拾い撃鉄を起こすと、
すぐさま人差し指に力を込めた。
ぱん、と乾いた音がした。ぱん、ぱん、ぱん、ぱん、ぱん。

リボルバー式の拳銃は6発で空になった。初めて扱った拳銃は、
コンビニで買い物をするよりも手軽だったよ。

ドアに向かうと、鍵は既に開いていた。何発目で寝袋が死んだのかは知りたくもなかった。
最後の部屋は何もない部屋だった。

思わず僕はえっ、と声を洩らしたけど、
ここは出口なのかもしれないと思うと少し安堵した。やっと出られる。そう思ってね。

すると再び頭の上から声が聞こえた

『最後の問い。3人の人間とそれを除いた全世界の人間。そして、君。
殺すとしたら、何を選ぶ』

僕は何も考えることなく、黙って今来た道を指差した。
するとまた、頭の上から声がした。

『おめでとう。君は矛盾なく道を選ぶことができた。
人生とは選択の連続であり、匿名の幸福の裏には匿名の不幸があり、
匿名の生のために匿名の死がある。ひとつの命は地球よりも重くない。
君はそれを証明した。しかしそれは決して命の重さを否定することではない。
最後に、ひとつひとつの命がどれだけ重いのかを感じてもらう。
出口は開いた。おめでとう。おめでとう。』

僕はぼうっとその声を聞いて、安心したような、虚脱したような感じを受けた。
とにかく全身から一気に力が抜けて、フラフラになりながら最後のドアを開けた。

光の降り注ぐ眩しい部屋、目がくらみながら進むと、足にコツンと何かが当たった。

三つの遺影があった。父と、母と、弟の遺影が。これで、おしまい。

彼の話が終わった時、僕らは唾も飲み込めないくらい緊張していた。
こいつのこの話は何なんだろう。得も言われぬ迫力は何なんだろう。

そこにいる誰もが、ぬらりとした気味の悪い感覚に囚われた。
僕は、ビールをグっと飲み干すと、勢いをつけてこう言った。

「……んな気味の悪い話はやめろよ!楽しく嘘の話をしよーぜ!
ほら、お前もやっぱり何か嘘ついてみろよ!」

そういうと彼は、口角を釣り上げただけの不気味な笑みを見せた。
その表情に、体の底から身震いするような恐怖を覚えた。

そして、口を開いた

「もう、ついたよ」
「え?」